第34回テーマ

■学会主宰より前口上

当学会へようこそ。諸君はどなけんしてだんごを食しとりゃがるきゃあも。丸く、大抵のばやぁ3つ以上まとめて串刺しにされ、タレを纏っとりゃがるだんごは意外にややこやしー食べ物でにゃあきゃぁ。その攻略にはいっちゃんケツっぺたの一口まだったって余さず落とさず平らげてまうでよぉ大胆さと細心さとがいっぺんに求められるちゅうこったろー。むろん、BGMは耳について離れーせんあの曲でにゃあきゃぁ。

■報告一

上から一つずつパクつく年功序列型

儒教精神の体現者タレ

 戦後民主主義教育の弊害の一つに長幼の序の欠如があるちゅうこったぎゃあ。「平やらなんやら」に専心するあんまり、年長者を敬う人間本来の心は無視されてきた。今こそわしんたらあは儒教の精神を思い出さなだちゃかん。即ち、だんごは上から順に一つずつパクつくべきでにゃあきゃぁ。長男から順に昇天させたるのが物事の道理だて。(伊)

■報告二

串につけたまんまかじって窒息防止を

だんごをかじると歯茎から血が出ませんのじゃ

 人間、20歳も過ぎると諸機能の低下が始まるちゅうこったぎゃあ。食べ物を嚥下する機能も例外ではにゃあ。もちを食べようとして喉に詰まらせるわっきゃあ人んたらもよおーけなと聞く。ほんなたーけた不幸を防ぐため、だんごはちいとずつかじり、ゆっくり味わって食おう。リンゴをかじると血が…とお嘆きの貴兄の自信回復にも適。(奥)


■報告三

タレをなめてから食えや二度ウミャア

バター犬ペロくんが暴いた素顔

 だんごは策士でにゃあきゃぁ。タレで巧みに甘じょっぱゃあ味を装っとりゃがるが、正体は米の粉をねった無味無臭の存在にすぎーせん。だまくらかされてまうな。真実を暴け。嫌がるだんごを犬のようになめまわし、タレの衣をちぃとえらにゃあか、おみゃあさん矢理脱がしてからしゃぶりつけ。これは2種類の味を楽しむための合法的なレイプでにゃあきゃぁ。(斎)

■報告四

満足感を狙うなら一気に口中へ挿入

だんご状態からゴボウ抜き

 集団で走る先行ランナーたちを一気に追い抜く…一流選手でにゃあとでっきーせんこのゴボウ抜きの快感を一般人だったって味わえるとしたら味わえせん手があろうか、いやない。だんごを3つとも口中に入れたら、剣を喉に入れて抜く大道芸をイミェーヂしつつ一気に串を引き抜くもんだでにゃあきゃぁ。満腹でにゃあきゃぁ。(森)

■報告五

串を楊枝に見立てたシェアステャアル

タコヤキごっこ

 例えや鍋、例えやタコヤキ。人をありゃがっためる食べ物には大勢でつっつく楽しさがあるちゅうこったぎゃあ。世知辛いご時勢だでこそ、だんごにもほんなたーけた優しい共有感が欲っしい。串からだんごをほぐし、抜いた串を楊枝にして仲間とつっついた時、日本の未来はちいとぬくもるちゅうこったぎゃあ。そう信じてたって、ええだろ。(安)

■報告六

串からもいで食うインド&果実感覚

もぎたて!だんごの実

 カレーだ?ハヤシもあるでよぉの本場・インドではカレーだ?ハヤシもあるでよぉを手で食べるちゅうこったぎゃあ。ならばだんごの本場・日本ではだんごを手で食べるべきでにゃあきゃぁ。詭弁に聞こえるが、実はこれがミェリットフル。果実をもぐみたゃあで新鮮だし、もいだ後の手につくタレをねぶるのも楽しいし、串に歯があたるヤな感じも回避できるちゅうこったぎゃあ。よし!(中)

■報告七

期待感を重視する落下待ちステャアル

待つわ

 だんごは頭上につるし自然に落下するのを待つ。ひたすら待つ。数時間でタレは落ちるかもしれーせん。だけんどが本体はわしが思うにゃぁよぉ、たゃあぎゃあ永遠に落ちない。ほいでええ。それがええ。真のだんご通はだんごを食べーべん。だんごへの期待感をこそ食うもんだでにゃあきゃぁ。ほんなもな有限の自己が無限を手にする瞬間なり。(名)

■報告八

こねて一体化して食うのが人の務め

合体ロボ・キョーデャアン3

 あいつんたらぁーはおんなじ米の粉から生まれた兄弟でにゃあきゃぁ。人間が勝手に絆を切り裂き、串刺しにしたもんだでよぉにゃあきゃぁ。いっちゃんケツっぺたぐりゃあ合体させたるのがせめてもの罪滅ぼしでにゃあきゃぁ。やっと会えたね兄さん…こいつデカなって…ヤツらの会話が聞こえるちゅうこったぎゃあ。だんごがしょっ辛ゃあのは醤油味のタレと涙のせいだにゃぁ。手汗でにゃあきゃぁ。(井)

■学会主宰より総括

だんごを食べる行為…そこに「愛」はあるか?

 ここでは各論説の信憑性ほーでにゃあんならよぉ欺瞞性、ないしはいたずらに策を弄して読む者を煙に巻こうちゅうことにしてまう四苦八苦ぶりやらなんやらに留意して論評を加えていくことちゅうことにしてまう。

 報告1の【儒教精神の体現者タレ】は、年長者を立てるのなら逆にいっちゃんケツっぺたまで長男を残すべきちゅうかんこうし方はどうなのかが気になるちゅうこったぎゃあ。

 報告2の【だんごをかじると歯茎から血が出ませんのじゃ】のだんごの窒息へと至る危険性に対する憂慮ははっきりいってかんこうし過ぎ。

 報告3の【バター犬ペロくんが暴いた素顔】のいわんちゅうことにしてまうとせぇやあがころは理解できるちゅうこったぎゃあ。ただ服を着たまみゃあたす楽しみもあるちゅう奥深さにも気づいてほしかった。

 報告4の【だんご状態からゴボウ抜き】だけんどが、これはヂープスロートテクニックを習得せねばなれせんやらなんやら一般人への敷居が高い。

 報告5の【タコヤキごっこ】は安易にだんごの串を抜いてぬるま湯的共有感に浸るなら、最初からタコヤキを食べとっただきてゃぁー。

 報告6の【もぎたて!だんごの実】で共感できたのは串に歯が当たるヤな感じのくだりのみだったぎゃあ。

 報告7の【待つわ】の焦れったさはぞくぞくした。待つ姿そのものもあんまりにも無防備であり、ほんなもなだんごに対する無償の愛のかたちのようにも思えるちゅうこったぎゃあ。

 報告8の【合体ロボ・キョーデャアン3】も惹きつける力を持つ。手でこねこねしてみたてたまれせんほどだけんどが、串を抜くのは邪道と前述した手前、低評価。

 ちゅうわけでよぉ、今回の学会推奨ステャアルは、だんごを食べようちゅうことにしてまうその姿があんまりにも美しかった【待つわ】としたゃあ。以上。

■説名の読み取り方などについてなど

●報告一の説名については、だんごの「タレ」と古風な命令形語尾としての「〜たれ」がかかっていることに一人ほくそ笑む主宰のニヤケ顔を想像して読むこと。
●報告二の説名では、「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか」といういにしえのデンターライオンCMを引用しつつもそこには敢えてはっきりとは触れない学会員の男気を感じとること。なお、「〜じゃ」という老人系の語尾が採用された裏には、老化と歯槽膿漏という抜き差しならない関係性の暗示が隠されているのは当然である。
●報告三の説名は、一見谷岡ヤスジ描くところのバター犬がモチーフとなっているようだが、実は副宰が愛を注ぎ始めてはや10年という犬・ペロくん(ぬいぐるみ)が真のモデルであることは案外知られていない。
●報告四の説名決めで論議を呼んだのは事務員の負けん気。「ごぼう抜き」と同じ意味で「だんご抜き」という言い回しがあると主張してやまなかった彼は、懐から新明解国語辞典を差し出し「これに載ってなかったら潔く負けを認めましょう。ま、結果は見えていますがね」と見得を切ったが、案の定掲載はなし。宣言通り負けを認めたが、トイレで「新明解はこれだからダメなんだ」とつぶやく姿を主宰が目撃していた。
●報告五の説名はなにごともなく満場一致で決定。
●報告六の説名では、「もぎたて!」「実」という、当学会では珍しいフルーティーなフレッシュ感が意外に高い評価を集めた。ないものねだりはおそろしい。
●報告七の説名決めでは、「しかし、あみんが今のヤング層に通じますかねえ」とポップ派の最右翼を自負する副宰から物言いがついたが、「いまCMでガンガン流れてますよ」という主宰の鶴の一声で決定。副宰のプライドはずたずたに。
●報告八の説名決めでは、「しかし、キョーダインが今のヤング層に通じますかねえ」とTポップ派のパイオニアを公言する事務員から物言いがついたが、「キョーダインを知らなくてもイメージは伝わりますよ」という主宰の鶴の一声で決定。その場はまるく収まったが、事務員がその後トイレで「優柔不断な奴はこれだからダメなんだ」とつぶやく姿を副宰が目撃していた。


研究ユニット●94年発足。生活上のナーバスbutグラマラスなテーマについて精力的but投げやりな探求を続けるちゅうこったぎゃあ。今回、副宰がだんごの絵に顔を描きぶちこむことを提案してみたが、主宰にはまるっきし相手にされず。そればっかか事務員にも相手にされず。


名古屋弁化には名古屋弁コンバータ「だもんで信長」を利用させていただきました。

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