第136回テーマ

学会主宰より前口上

生活様式学会2001へようこそ。諸君は風呂に入っていてふと湯船を見るとほわほわ〜んと人毛が浮かんでは沈んでいる、そのたゆたうみずからの毛を、いかなる具合に遇しているだろうか。ちなみに毛の種類はとくに問わない。絵的に問題アリだし。

報告一

手で汲み取れば金魚すくいみたいで楽しいね

もろ手で金毛すくい

 両手でお湯もろともすくって湯船の外に捨てるのが当然。せっかくの湯ラックス気分を害するにっくき毛を排除すると同時に、金魚すくいの楽しさを満喫できるからだ。お湯の中をたゆたう金毛はああ見えて生きているので、片手すくい方式では逃げられてしまうぞ。


報告二

指でからめ取れば感謝&ヘアチェックがOK

ピンポイント拾毛・ユビランス

 今は抜けてしまったが、毛はそれまで自分の身体を守ってくれていた功労者だ。むげに扱ってはいけない。浮かんだ毛の下方向から人差し指を優しくあてがってからめ取り、感謝の意を表しながら丁重に葬るピンポイント拾毛を採用すべき。ヘアチェックも当たり前。

報告三

大きな波を起こして毛をワイルドに流し去れ

サーフィン湯S毛

 手をワイルドに動かして湯船の海にビッグウェイブを起こそう。こうすれば、「あ、オレってサーファー?」と勘違いした毛が波に乗り、気分もノリノリに湯船の外に去っていくはず。サーフィンUSAの鼻歌に乗って豪快に処理すれば、USA=憂さも晴れるというもの。

報告四

一発で毛を根こそぎ取り去るための漁網作戦

タオル漁一毛打尽

 毛の捕獲は遊びじゃない。入浴タイムを快適に過ごすための仕事だ。漁だ。失敗は許されず、ちまちまと一本釣りしているヒマなどない。プロの道具を使って効率的に一網打尽といかなければ。網だ。タオル漁だ。湯の中で広げて持ち上げれば、一発で大漁間違いなし。

報告五

水圧で自動的かつ清潔に下の口から排出せよ

排水口ブラッ毛ホール作戦

 ユニットバスを見ればわかるように、風呂とトイレには密接な関係がある。そこで、風呂の毛処理に水洗トイレの便処理を応用する作戦。湯船の栓を抜けば、排水口という強力な重力場から湯とともに自動的に排出するから毛が手に触れる心配もなく、非常に清潔だ。

報告六

いにしえの教えに従い毛には毛で遇するべし

ハンムラビ毛典の戒

 古代バビロニア王が定めたという毛典には「毛には毛を」とある。抜けた毛にはまだ抜けていない毛をもって遇せよ、との意味である。この戒告に忠実であるためには、股間を浮かせて毛を茂みにからめ、そのまま湯船の外に出るのが正しい。仲間に会えれば毛も喜ぶし。

報告七

湯船の栓のチェーンに結びつけて縁起を担ぐ

風呂神社の毛みくじ

 毛みくじは縁起ものですから、吉凶を占った後は湯船の栓のチェーンに結びつけましょう。凶が出た場合は、痛いですが改めて毛みくじを引っぱるのも可とします。小正月には注連飾りなどと一緒に厳かに焼納いたします。安心して結んで下さい。風呂神社神主より。

報告八

しおぐさ科の緑藻類のように集めて丸めよう

新種! 人毛まりも

 寒冷地の淡水湖に産する緑色球形の美しい藻といえばまりもだが、温暖な淡水湖に産する黒色球形の汚らしい藻といえば、人毛まりも。毛を大量に集めるだけでも大変だが、さらにそれを丸く成形しなければならず、天然ものより貴重だ。湯船に沈めて観賞するのに向く。

学会主宰より総括

 我に自由を与えよ、しからずんば死を与えよ−−とはパトリック・ヘンリーの言であるが、風呂の中の毛もそう思っているかもしれない。自由を求めて人体から離れたはいいが、そうなればやがては排水口の向こうへと消え去る運命。悲しいナ…。さて、総括である。

 報告一【もろ手で金毛すくい】は慎重。だが、金毛すくいに夢中になってしまっては湯ラックス気分も忘却の彼方。もっとまったりした手法を望みたい。

 報告二【ピンポイント拾毛・ユビランス】は1本や2本の毛になら有効だろう。5本、6本を過ぎるともはやかったるい。脱毛しがちな最近の自分を省みてそう思う。

 報告三【サーフィン湯S毛】はたしかに豪快だが、お湯を無駄遣いしちゃダメよというお母さんの声が聞こえてきそうなのがどうも。

 報告四【タオル漁一毛打尽】は毛がわらわらと付着したタオルってなんかヤじゃないすか?

 報告五【排水口ブラッ毛ホール作戦】は排水口近くまで毛を誘導する工程のめんどくささについてはどうなのか。

 報告六【ハンムラビ毛典の戒】はなんともはや。大体、茂みに毛が紛れ込むとどれが抜けていた毛だったかよくわからなくなるし、それが本当は髪の毛だったら、場所が違うので毛自身も憤懣やるかたなくなってしまうのではないか。

 報告七【風呂神社の毛みくじ】はどの毛が吉でどの毛が凶なのよ? あと小吉とか微妙なヤツももあるの?

 報告八【新種! 人毛まりも】はマーベラス! カワイイ! 飼いたい! と賞賛の声があちこちから聞こえてくること必至! もう入浴タイムもさびしくない。

 というわけで今回の推奨スタイルは、まさか毛を飼うことになるとは毛ほども思わなかった【新種! 人毛まりも】としたい。以上。

学会副宰よりあとがき

●ケッ! W杯チケットの一次販売外れちったよ! アクエリアスとバド飲みまくってやる!
●白夜書房の「月刊デジパチ必勝ガイド」にて「Pachinko生活様式学会」というのもやってます〜。



生活様式学会トップに戻る