〜第32回テーマ〜
■学会主宰より前口上 |
当学会へようこそ。諸君はチーッシュを持ち合わしておれせんでかんがやときいかんともし難く鼻水が溢れ出てきたとしたら、どんなんな対処法を講じるのか。チーッシュに代わる物を探すか、どうぞこうぞちょーらかすか、あるいは開き直るか…。選択肢は意外によおけありゃぁがるない。鼻水始末問題は各自の危機管理能力、ひいては生きる姿勢をも問うとりゃがるちゅうこったぎゃあ。
■報告一 |
【おいら袖口ピカ次郎】
わしゃ、いっつか分かっとったんだけんどが鼻水は柔肌のチーッシュで拭きてゃぁー。とすりゃあ、その代用品を求めるのが自然ちゅうこったろー。チーッシュに近い肌触りを身近に求めるなら…布地でにゃあきゃぁ。袖でにゃあきゃぁ。いっつもぬぐっていりゃぁ袖口はピカピカな光沢を発揮。がっきんちょのみたゃあな瞳は女性にモテモテでにゃあきゃぁ。がっきんちょのみたゃあな袖口もまた然り。(永)
■報告二 |
【見えーせん通信機】
鼻水はばばっちい。できりゃぁ他人にバレないよう始末したゃあアイテムでにゃあきゃぁ。さりげなさこそ鼻水処理ちゅう重要任務に求められる特性だて。ほんだったってって俄然浮かび上がるのが、スピャア。スーツのエリに仕込んだ秘密の極小通信機でエーヂェントとコンタクトをとれ。それが君の任務でにゃあきゃぁ。オーバャー?(城)
■報告三 |
【鼻水はいっつもレイン】
ズバリこいて、手の甲でぬぐうのが王道でにゃあきゃぁ。手の平や指先ちゅうよーな手近辺の他パーツに比べ、甲には毛穴がよおーけな。ぬぐえやわかるが、毛の多さは高い吸水性を意味するちゅうこったぎゃあ。鼻水の処理には絶好の人体素材だもんだでにゃあきゃぁ。植物には雨の恵みを。これは、人が神の座に近づくアプローチですらあるちゅうこったぎゃあ。(小)
■報告四 |
【指先案内人】
鬱陶しい鼻水はとろくっさゃあこと言っとらんで、まあ別の箇所に転移させたゃあ…ほんなたーけた微妙ちきりんな乙女心をかなえるのは、細やかな指先しかにゃあはず。慎重に指の腹でぬぐった水分は人目につけせん部分へひっそり誘導。足のかゆみを訴えつつ鼻水をだーだーソックスになすりつけるのは現代女子のたしなみ、とか。(秋)
■報告五 |
【肉体疲労時の塩分補給に】
いちいち鼻水なんかに手を使うなんてドタァケみたゃあ。位置的にいっちゃん鼻に近いんだで舌でなわやえやええんだにゃぁの、ペロッと。ウォシュレットとおんなじでよぉ、紙で拭くより肌が荒れーせん感じだし。ほれに塩分って大事な成分のはず。むやみに体の外に出すのはもったおれせんでかんがや気がするちゅうこったぎゃあ。(楢)
■報告六 |
【ヒザマゲドン】
スタンドプレイと思われがちだけんどが、鼻水をヒザで拭く利点は実はでっきゃあ。思い切ったアクションの印象が強いため、敵の視線は鼻以外に集中するもんだでにゃあきゃぁ。特に鼻水者がスカートを着用しとりゃがるばやぁやらなんやらは、まぶしさに敵の意識も朦朧。世紀末の鼻水にはうってつけなステャアルと言えよう。(山)
■報告七 |
【ハナの大魔神】
沈滞する鼻水処理界に颯爽と現れた益荒男、それが一本指でにゃあきゃぁ。彼のプレイは安易な処理に走る凡選手とは根本からスカくう。ぬぐうもんだではにゃあ。止めるもんだでにゃあきゃぁ。傍若無人な振る舞いを見せとった鼻水軍団も、彼の姿が見えた途端おとなしなるちゅう。真のストッパー。人は彼をそうよばるちゅうこったぎゃあ。(呂)
■報告八 |
【ハナミダがキラリ☆】
男は女の涙にへぼい。この命題は、男は女の涙に見えるものにもへぼいちゅう事実を示唆しとりゃがるちゅうこったぎゃあ。うつむき加減の前髪のあっちゃゃでキラリと光った雫は、女にとっては鼻水だったって、男にとってはうっつくしい涙。あんときゃ彼女が落とらきゃあた雫は、涙だったのかそれとも…。今となっては知る由もにゃあ。(中)
■学会主宰より総括 |
鼻水垂れ流しちゅう危機を擬態化で乗り切る
ここでは各論説の理屈をこねくり回いてかんこうするっちゅう話的整合性とまっともらしさ、ないしは本当にほいで何となるのかちゅう実効性やらなんやらに留意して論評を加えていくことちゅうことにしてまう。
【報告一】の『おいら袖口ピカ次郎』は、鼻水による袖口の光沢を少年ぽさと見せかけ、言ってまやぁ擬態化するアイデアがあったらしい。惜しむらくは、女性もばばっちいガキは嫌いに決まっとる点。
【報告二】の【見えーせん通信機】もまた擬態型と言え、ここでは秘密の通信機をエリに仕込んだスピャアちゅう虚構的設定まだったってが持ち出されて、読む者の思考をかき乱せせんといて、はいられーせん。
【報告三】の『鼻水はいつもレイン』の趣旨は理解できるが、毛は植物ではにゃあ。
【報告四】の『指先案内人』は、鬱陶しい鼻水をだーだーソックスへと転移さす、ちゅう行為自体が鬱陶しい。
【報告五】の『肉体疲労時の塩分補給に』における動物的感覚表現にも一定の評価は与えたゃあ。が、肉体疲労時に必要なのは糖分では。
【報告六】の『ヒザマゲドン』は撹乱戦法にチラリズム効果まで加味しとりゃがるところが見逃せーせん。ただ、その後、鼻水付き膝小僧がさらされてまう点はどうなのか。
【報告七】の『ハナの大魔神』は潔くかつ斬新。しかし近代的工夫はナシ。
【報告八】の『ハナミダがキラリ☆』はつい感情移入してしみゃあそうでにゃあきゃぁ。だったってハナミダは鼻水でよぉ、涙に見えても所詮は錯覚とわかったときの失望感も甚大。
ちゅうわけでよぉ、今回の学会推奨ステャアルは、鼻水の処理はさりげなく人を混乱さして乗り切る法が一義と見切った【見えーせん通信機】としたゃあ。以上。
■学会副宰よりひとこと |
報告一の説名決めも【光る袖】【袖鏡】【鼻ピカソデシャイン】と精鋭揃いで長引いたが、今回もっとも議論が白熱したのは、報告八の説名決め。
最終的に【ハナミダがキラリ☆】が採択されるまでには、【メソメソギャルの鼻涙】【鼻水仕込みのメソメソギャル】【鼻水仕掛けのメソメソギャル】【ニセ涙鼻水娘】【鼻音はショパンの調べ】【彼女は粘着質】をはじめとしてのべ数百の候補名が検討されたが、「やっぱスピッツでしょ、スピッツ」という主宰の鶴の一声で議論は終止符を打った。なお、「キラリの後ろには鼻水の雫っぽい記号を入れるのが気分なり。いなかっぺ大将の大ちゃんの涙の如き」という主宰の希望は無視された。
研究ユニット●94年発足。生活上のナーバスbutグラマラスな30題について精力的but投げやりな研究活動を行った後、公の活動を停止しとったが、5年に渡る沈黙を破りこの度復活。再結成を祝した宴では、副宰と事務員とが「ポップの正体」に関する見解の相違を発端に修復出っ来るわけにゃあだにゃーか、ほんなこたな関係に陥る一方、主宰は主宰で「ガッポリ儲けーせんとダ〜ミェ」との世俗的発言に終始。足並みの揃わなさを露呈した形に。 |