第109回テーマ

学会主宰より前口上

生活様式学会2001へようこそ。諸君は国立競技場に青い服着て出かけていってなーんだ今日は松崎しげるじゃないのかなどと内心思いながら国歌を斉唱するとき、その君が代をはたしてどのようなポーズでもって歌っているだろうか。千代に八千代に。

報告一

体に楽な休めの姿勢で応援パワーをためよう

休めウシロッテちゃん

 試合前の国歌斉唱で体力を使い果たして疲れてしまっては本末転倒。手を後ろにやって組むぐらいがちょうどいい。言ってみればこれは「休め」の姿勢。楽なポーズで応援エネルギーを十分に充填し、試合が始まったら一気に爆発させるっていうのがサポーターの務め。


報告二


心臓の鼓動を感じて太古の昔に想いを馳せろ

イザナギハートビート異聞

 国歌を斉唱する以上、国を作った先人をリスペクトする姿勢が必要だ。そこで真似したいのが中澤佑二選手の歌いざま。胸にあてた右手に伝わる鼓動は大地創造の神・イザナギノミコトの鼓動の延長にあるんだなぁ、などと想像し、大らかな精神状態を導かんと欲す。

報告三


メキシコ代表とヤマトを真似た腕曲げ胸あて

大和魂メキシカン

 フィジカルに恵まれていないのに強いメキシコ代表こそは、同じ事情を抱える日本代表が規範にすべきチームである。ならば、曲げた腕を水平にして胸にピシッとあてる彼らの国歌斉唱姿勢だって採用すべき。宇宙戦艦ヤマトの乗組員っぽいスペイシー感も大魅力だ。

報告四


日本の伝統的応援団を踏襲する腕振り下ろし

我らコケムシ応援団のフリ

 我々は選手ではなく、あくまでもサポーター。つまりは応援団だ。そして、我が国で応援団といえば、握り拳を振り上げては下ろすあの男らしいふりつけを忘れてはいけないだろう。君が代の厳かな旋律に合わせて一心不乱に振り下ろすのだ。握り拳に苔のむすまで。

報告五


神と仏の二大パワーを味方につける合掌唱法

ジャパーン少年少女合掌団

 胸の前で両手を合わせ、仏に向かって日本代表の勝利を神妙に祈りながら歌う。これが、仏教国に生まれた我々にふさわしい歌い方である。よく考えると、君が代には神道の香りも高い。神と仏。この二大パワーがありさえすれば、今日も明日も我々の代表は無敵だ。


報告六


全体主義内個人主義を目指す透明マイク歌唱

俺のソロ・拳骨編

 君が代斉唱って、旧来の軍国主義を思い出すし、画一的だし、個人主義が発達した現代社会に生きる俺たちにはなんかしっくりこないんだよなあ、という率直な若者でも、己の拳骨をマイクに見立てたこの歌い方なら満足は必至。これからは斉唱の中の独唱が気分だ。

報告七


己を拍節器化して観衆のテンポを合わせよう

メトロノーム注意報発令

 斉唱で一番重要なのはテンポです。特に君が代は旋律がシンプルなため、足並みが揃わないと散漫な印象が強くなります。「OH、ジャップはてんでバラバラな国民ネ」と外国人に思わせないため、腕を上に伸ばしてメトロノーム役を買って出る勇気を持ちたいですね。

報告八


全身で音符を表現するビジュアル世代の唱法

体の歌を聴け!

 君が日本代表の真のサポーターを自称するならば、全身を使って国家を斉唱すべきだ。体を音符状に折ったりたたんだりしてサウンドだけでなくビジュアルでも歌を表現すべきだ。W杯の舞台で競技場の全観衆が音符になれたとき、ジュール・リメ杯は日本海を渡る。

■学会主宰より総括

 ヨーロッパ人は毛深いが、日本人は毛深くない、だが毛は剃らなくても少しずつ生えてくる……本山は8ヶ月ヒゲを剃らなくても、生えてこないだろうが(笑)−−とはフィリップ・トルシエの言であるが、結局これ、毛深い方がいいのか悪いのか。いずれにしろ本山はレバノンにはいなかった。森岡は鼻毛が濃いらしい。さて、総括である。

 報告1休めウシロッテちゃんはイカン。もう少し闘う姿勢というやつをアピールしなければ柱谷(哲)あたりにも受けが悪いであろう。ハーフタイムなら可。

 報告2イザナギハートビート異聞は、国を作った先人というか、イザナギノミコトは神様なんじゃないの? というあたりがまさしく異聞めいていて怪しい。

 報告3大和魂メキシカンはヤマトなのかメヒコなのかハッキリしていただきたい。

 報告4我らコケムシ応援団のフリはリズムを取るには君が代はあまりにスローテンポ。

 報告5ジャパーン少年少女合掌団の本家はやはりインド代表あたりではないのか。

 報告6俺のソロ・拳骨編は意味のあるようなないような個人主義ぶりが妙に魅力的な光を放っている。俺は俺で歌っている、だがみんなと一緒に歌っている、という重層的ないしは倒錯的な姿勢が深く印象に残った。

 報告7メトロノーム注意報発令はその目的ならばタクトを振って指揮を取るべきでは。

 報告8体の歌を聴け!は何なの?

 というわけで今回の推奨スタイルは、個々の力を組織プレーに生かすという意味でも見事なサポーターぶりを発揮できるに違いないと言えなくもないかなーという感じで俺のソロ・拳骨編としたい。以上。

学会副宰よりあとがき

●FIFAってバカ?
●ハァ〜レバノンノン




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