〜第133回テーマ〜
■学会主宰より前口上 |
生活様式学会2001へようこそ。諸君はチューブ入りのマヨネーズが残りわずかになって最後まで使い切りたいのになかなか出ないとき、どのようにしてそのファイナルマヨを絞り出しているだろうか。人類の叡智を賭けたマヨとの闘いが今、始まる。
■報告一 |
チューブを巻いてマヨを追い込んで押し出す
【マヨネ道くるくる♪】
チューブを端から丹念にくるくると巻いていくべきだ。イメージしたいのは、羊を上手に追い込む優秀な牧羊犬のテク。行き先がわからなくなって迷い道に入り込んだがごときマヨネーズたちを残らず出口に追い込み、ぐぐっと押し出すわけ。めざせ、シープドッグ。
■報告二 |
チャッチャッと勢いよく振って滑り出させる
【マヨ、フラれる!】
マヨネーズのチューブはもともとこびりつきの少ないポリエチレンでできている。従って、特別な工夫は必要ない。チャッチャッと勢いよく振れば十分。マヨにとって容器はいわば楽しい滑り台。背中を軽く押してやれば、自分から喜んで滑りたがるものなのである。
■報告三 |
空気をチューブに入れて逆さにして置いとく
【エアエアマヨラク】
地球には月の6倍もの重力と、そして何より空気がある。これを利用しない手はなかろう。チューブに空気を入れて逆さにして置いとけば、マヨネーズはきれいに絞り口の方へ集まるのだ。あとは指でパスッとつまむだけ。エアさえあれば、マヨ出しなんてラ〜クラク。
■報告四 |
唇をチューブの絞り口につけて強く吸い出す
【愛のマヨチュチュ・バキューマー】
三度のメシよりマヨが好きという真のマヨラーにとって、マヨネーズはもはや単なる調味料ではない。ズバリ言って、LOVEの対象である。とすれば、頬がこけるほどの濃厚なバキュームキッスで骨の髄までしゃぶりつくすのが当然。愛は生物-無生物の垣根を超える。
■報告五 |
チューブを刃物で切り取りスプーンですくう
【奥様はマヨキラー】
現在、全国の素敵な奥様連中の間で静かなブームを呼んでいるのがこれ。刃物でチューブを切り、スプーンでマヨネーズを根こそぎすくってしまうというキラースタイルだ。一見乱暴だが、容器をそのまま食器として利用する点が、上流階級の主婦にも人気だという。
■報告六 |
ドライヤーの熱風で固くなったマヨを溶かす
【マヨソフトは熱印】
なぜチューブから出しにくくなるかというと、それはマヨネーズが乾いて固まってしまうから。ドライヤーなどで絞り口付近に熱を加えてやれば、マヨネーズは本来の軟らかさを取り戻し、「こんなやり方があったかい!」と思っておとなしく出てくること請け合い。
■報告七 |
液体の材料を入れて固くなったマヨを薄める
【マヨ便秘には酢(油)ーラック】
なぜチューブから出しにくくなるかというと、それはマヨネーズが乾いて固まってしまうから。原材料であるサラダ油や酢などを注ぎ込んで混ぜてやれば、マヨネーズは本来の軟らかさを取り戻し、おとなしく出てくること請け合い。まあ、言ってみれば浣腸ですな。
■報告八 |
土に逆さまに差して鉢植え野菜の肥料にする
【マ養分食べヤサイ!】
土に差すだけで手軽に栄養補給できるアンプルタイプの肥料みたいに、チューブを野菜の鉢土に差しましょう。すると、マヨの高い栄養分が行き渡って野菜が元気に育ちます。収穫期を迎えたら、新しいマヨをかけて召し上がれ。まあ、言ってみれば植物連鎖ですな。
■学会主宰より総括 |
人生には二つの悲劇がある、一つは心の願いが達せられないこと、もう一つはそれが達せられること−−とはバーナード・ショーの言であるが、たしかにマヨネーズが完全に使い切れないのも悲しいが、存外うまく使い切れてしまったときにも奇妙な虚脱感があるものだ。
そんな頑張って使い切るほどオレ、マヨネーズ好きなんだっけ、と我に返ったりね。さて、総括である。
報告一【マヨネ道くるくる♪】はわりに王道。でもこのやり方で完全にマヨネーズを出し切るのは大変。誰もがそう感じているはず。
報告二【マヨ、フラれる!】はチャッチャッと振ったマヨネーズが思わぬ方向に飛び散ったりするのが難。顔射もあり得る。
報告三【エアエアマヨラク】は、しかしそれでもわずかな、ほんのわずかなマヨネーズが先っぽの方に残ってしまうよ。経験上。
報告四【愛のマヨチュチュ・バキューマー】はイケる。思わず、うう、そ、そこっ、と声が漏れるほどに。マヨネーズを最後まで使い切りたいと願う、マヨ好きならではのテクである点も好印象。
報告五【奥様はマヨキラー】は理に適っている。文句をつける筋合いもない。でも切っちゃうというのはどうも反則のような気がするですよ奥さん。
報告六【マヨソフトは熱印】は本当に熱するとスムースに出るのだろうか。チューブまで溶けたりしないのだろうか。いろいろ心配。
報告七【マヨ便秘には酢(油)ーラック】は、それをマヨネーズと呼べるのかどうか、大いに疑問。
報告八【マ養分食べヤサイ!】は、それが野菜の栄養補給になるのかどうか、まったくもって疑問。
というわけで今回の推奨スタイルは、吸え、吸い尽くせ! とばかりに唇に力の入る抜本的解決スタイル【愛のマヨチュチュ・バキューマー】としたい。以上。
■学会副宰よりあとがき |
●ちなみに、マヨネーズ界の重鎮・キューピーのサイトでは、「マヨネーズQ&A」のコーナーで、報告三と同様の使い切りスタイルが推奨されていた。我々もそのままマネヨーズかなぁと思ったが…。