アカデミー主宰より総括


みかん好きの爪は月のごとく黄色し

 各人はその能力に応じて働き、その労働に応じて与えられる−−とはサン・シモンの言であるが、みかんの皮むきこそさもあらん。人はむかなければ食べられない果物を前にして創意工夫を凝らし、手練手管を身につける。いかにしてパンツを脱がせるかを思案するごとく。ここではそんな意も汲みつつ、各論説に論評を加えていくこととする。

 報告1【ボッチからむかにゃーミカンぜよ】は最後まで前のめりで死んでいきたいぜよと言った坂本竜馬ばりの正攻法。ただどうせなら愛媛なまりを駆使してほしかった。

 報告2【ソコはミカンニンどすえ】は正攻法に対する回答のひとつだが、弱点をつくといってもそもそも何の勝負をしてるんだっけという根本的疑問にどう答えるつもりか。

 報告3【パックリ! 温州みかん太郎伝説】の昔話についてだが、後ろからパックリ割ったらみかん太郎は逆さまになって生まれるのだろうか。その点で、飛び出すとみかん太郎は床にしたたかに頭を打ちつけそうだ。

 報告4【ひと房ごとのちぎり】は面倒である。

 報告5【林檎仕掛けのオレンジ】はiMacの真似をしたe−oneみたいだなあと失笑。

 報告6【ツメナイフは黄金色】は注目すべき言説であろう。みかんの皮むきによって黄色く染まる爪を前向きにとらえている。そのひたむきな態度がいとおしい。

 報告7【こんにちはみかんちゃん】は涙なくしては読めない。その分、痛々しい。

 報告8【青春のまるかじりは苦酸っぱくて】はみかんの食べ方ということについて抜本的に考え直していただきたい。

 というわけで今回の推奨スタイルは、前むきでひたむきな皮むきを提唱した【ツメナイフは黄金色】としたい。以上。

「みかんのむき方」は

ツメナイフは黄金色


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