第126回テーマ

学会主宰より前口上

生活様式学会へようこそ。諸君はたとえば電車かなんかに乗って吊革につかまっているときにふとなんかこうヨコシマなことが脳裏に浮かんで股間がうずうずモッコリして困ったなぁというとき、いかなる対処法を講じているだろうか。どうでしょう。

報告一

上衣の裾を下に垂らしてさりげなく覆い隠せ

春色のチンガードシャツ

 Tシャツ、ポロシャツ、BDシャツ、その他なんでもいいから、上に着ている服の裾を下にささっと引っ張って垂らし、モッコリ部分を覆い隠してしまうのが、一番自然でさりげない。服で隠せば福きたるって感じだし、ボクシングでもチンにはフックが効果的らしいよ。


報告二

周囲を盛り上げて中央突起を目立たなくしろ

ポケットシュタインの新相対性理論

 平地にある山は小さくても目立つが、山岳地帯にある山は大きくても目立たない。この常識を発展させ、ポケットに握り拳を入れれば隆起が目立たないという新相対性理論を唱えたのが現代男性物理学の権威、ポケットシュタイン博士。天才の言に従わない手はない。

報告三

手で上に導いて布地の抑圧から解放してやれ

月に向かって立て!

 恥じらいより大事なのはモッコリの切なさを解除すること。ジーンズの固い生地に頭を押さえつけられて悲鳴を上げている存在を楽にしてやること。潔く手で導いてベクトルを修正し、正しく天を衝かせてやろう。上方を向けば、結果的に隆起の高さも低くなるのだ。

報告四

尻を後方に突き出して前後の+−を0にしろ

腰引け一丁拳銃

 出っ張ったものを出っ張ってないように見せるには、土台そのものを引っ込めてしまえばいい。この場合、土台とは腰だ。出っ張っているのと同じ分だけ腰をぐいっと後ろに引けば差し引きゼロ。モッコリ男と笑われるぐらいなら、腰抜けと言われた方がまだましよ。

報告五

隠蔽すると同時に男の尊厳を声高に主張せよ

帽子をかぶったかくれん棒将軍

 単に隠すという姿勢では、神聖な命の源というべきモッコリを貶めるも同然。ここは帽子だ。帽子をかけよ。一見隠しているようだが、何もなければ帽子は落ちるわけで、よく考えればこれは隆起の揺るがぬ証左。隠しながらも主張する。男の真の魅力がここにある。

報告六

携帯電話の待ち受けエロ画像に視線を集めろ

待ち受け、ポコ受け、じんじろげ

 いくらモッコリが刺激的とはいえ、より刺激的なものが近くにあれば、大衆の視線はそちらに集中するはず。例えばそれは、局部がもろ見えなケータイの待ち受け画像。生身のエロよりむしろヴァーチャルなエロを好みがちな世相を鋭く捉えた現代的ごまかし方です。

報告七

下衣の後ろ前着用であくまで尾と見せかけろ

シッポは海綿体

 あらかじめズボンを後ろ前にはいておきさえすれば、いつなんどき律動が押し寄せても平然としていられる。もしじろじろ見られても、「あ、これ、シッポですよ。ほら、ズボンの尻の方にあるでしょ」という顔をすれば、下世話なギャラリーもシッポ巻いて即退散。

報告八

超高速で腰を動かしまくり姿を消してしまえ

もうあなた以外しか見えない

 自ら能動的に動くことは、男性をして男性たらしめる男性的な特性だ。動きを忘れては男じゃないとばかりに腰を超高速で前後左右に動かしまくれば、モッコリは勿論じきに全身も見えなくなり、伝説の消える男として女性の記憶に長く刻まれるに違いない。光栄だ。

学会主宰より総括

 立てる農夫は座せる紳士よりも尊い−−とはフランクリンの言であるが、座せる紳士はたしかに悲しいのだ。オヤジになってくるとひしひし感じるのだ。みなさん、お元気ですか。さて、総括である。

 報告一春色のチンガードシャツはわりかしノーマル。しかし臭いものにはフタをしろ的日本人発想から脱却していない点などがややフフク

 報告二ポケットシュタインの新相対性理論は、天才の理論にしては見た目不自然。あらこの人ポケットふくらんでるけど握り拳なのねでも3つもっ!? とかいう感じでかえって目立つのではないか。

 報告三月に向かって立て!は、意外にやりがち。しかし正面からの視線にはごまかしがきくが、真横からの視線には存外、無力。

 報告四腰引け一丁拳銃だが、その腰抜け姿勢からしてモッコリ男であることはむしろ明白。結局、二重に情けないんですけど。

 報告五帽子をかぶったかくれん棒将軍の思想には恐れ入った。隠していながら隠していない。そのアンビバレンツなわけのわからなさは世の多くの女性たちをクラクラさせること必至であろう。いや、ご立派。

 報告六待ち受け、ポコ受け、じんじろげもわけがわからないものの、いささかテクノロジーに対して依存過多。そのエロ画像は送ってほしいが。

 報告七シッポは海綿体は、ヒネリがききすぎ。

 報告八もうあなた以外しか見えないは、まるでゆらめくかげろうのようにあえなく、はかなくて、記憶に残らないと思う。

 というわけで今回の推奨スタイルは、モッコリ現象をさりげなく衆前パフォーマンスにまで昇華させているあたりが素敵な帽子をかぶったかくれん棒将軍としたい。以上。

学会副宰よりあとがき

●今回はテキストデータがどうしても見つからず、床に埋もれていた主宰の原稿をわざわざタイプし直しての更新。俺ってやっぱ生活様式学会が好きなんだなぁ、と改めて感じた次第。
●モッコリしちゃう人って、正直言って羨ましい…。



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