〜第38回テーマ〜
■学会主宰より前口上 |
当学会へようこそ。諸君は居酒屋にてオーダーを伝えようとするとき、いかなる素振り手振り身振りで店員を呼び寄せるだろうか。ディスコミュニケーションが叫ばれる今世紀末において、店員との意思疎通はまさに急務。これは、客としてみずからの存在をアピールし訴えんがための、悪戦苦闘のサバイバル物語である。
■報告一 |
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■報告二 |
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■報告三 |
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■報告四 |
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■報告五 |
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■報告六 |
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■報告七 |
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■学会主宰より総括 |
店員がハッと振り向く極めつけ手練手管とは
ここでは各論説のもっともらしさあるいはウソくささ、ないしはなぜにそんなこと言い出すのかといった思想的背景等に留意して論評を加えていくこととする。
報告1の【ハラペコなら手をたたこ、パンパン】は、じゃ隣で手叩きながらくっちゃべる人が飲んでたら?と突っ込まれると途端に論拠を失うのではないか。
報告2の【指が鳴るゼ】は指を鳴らせない(鳴らない)者への思慮に欠けている点が何より腹立たしい。
報告3の【センセーッ!】はすこぶる効果的と思えるも、店員を敬愛する先生と見立てていながら「奴」呼ばわりしている点は見逃すわけにはいくまい。
報告4の【サイレント・ヤッホー】は一服の清涼剤のよう。ふと爽やかな気分になりかけたが、よく考えるとあまりに地味で実践的効果は期待薄と判断。
報告5の【場末のラウンドガール】における面積増大策には納得。ただ、そこまで目立っておいて「子持ちししゃも1こ」等のセコい注文を言えるかどうか。
報告6の【ほろ酔いスナイパー】は殺気という精神主義を導入した論旨が新機軸だ。しかもほろ酔い客がいかにもやりそうなアクションなのもおかしみを誘う。
報告7の【ライターで火をつけています】は「振りまかなくても構わない」と言い切った時点で却下。
報告8の【鏡の国からキラキラ】は何がナニやら。
というわけで今回の推奨スタイルは、ディスコミュニケイティブな居酒屋において殺気というネガティブな力をポジティブに運用しようとした【ほろ酔いスナイパー】としたい。以上。
■学会うらばなし |
●当初、第38回学会のテーマは、「ボウリングでストライクを取った時の喜び方」であったが、ハイタッチ両手、ハイタッチ片手、ロータッチ、握手、抱擁、腕タッチ、腕クロスタッチ、ケツバンプ、グータッチ、ダイブ、ジャンプ、胴上げ、一本締め、三本締め、ウーワッ……とスタイルをピックアップしているうちに収拾がつかなくなり、急きょテーマが変更になったという経緯がある。
●報告1の説名は、名曲「幸せなら手をたたこう」より。主宰が、「ハラペコ」の、特に「ペコ」に強い違和感を唱えるも、却下。
●報告2の説名は、言い回し「腕が鳴る」より。最後の「ぜ」を「ゼ」とカタカナ化したのは、キザな男らしさに飽くなき憧憬を持つ事務員の日活的センス。
●報告3の説名は、教室内呼びかけの「先生」と高校野球の「宣誓」のダブルミーニングネーミング。
●報告4の背景に流れるのは勿論「アルプスの少女ハイジ」。ハイジ系ホームページ界の巨星である龍野画伯(フロム・エー版の学会公式絵師)への深い敬意が表されている。
●報告5、報告6の説名は、いま思うとなんとなく似ている。
●報告7の説名は、「場違いホタルは火遊び好き」という強力なライバルを土俵際でうっちゃって採用された。潔く虚飾のレトリックを廃した、いわゆる「ネ直論」(ネーミングにおける直截記述論〜1999)に基づく名付けが、従来のイメージ文法に則った「場違い〜」を破ったこの事実は、エポックメイキングな出来事として学会員の心に深く印象づけられた。このスタイルが今後主流になる、と副宰は思っているが賛同者は見つからなかった。
●報告8の説名は、「テレビの国からキラキラ」。
研究ユニット●94年発足。生活上のグラマラスな題材について精力的but投げやりな探求を行う。TVで「ポッキーの食べ方」の研究を発表したら、グリコの笛吹様がポッキーを贈ってくれた。感激の涙に浸して食う新スタイルを早速「ウスイ」と認定。 |